都心の風景にもだんだん緑が増えてきて
ずいぶん春らしさが感じられるようになってきました。

公園の遊歩道沿い、舞台装置のように一斉に咲いているソメイヨシノ。
満開の花の下ではスーツ姿の人々が席を陣取って宴に備えています。
日頃の憂いを脱ぎ捨て非日常に酔いしれる、
都市ならではの小さな祭があちこちで開かれる春の週末です。


電車の窓の外、流れてゆく景色を見下ろすように眺めていたら
ハっと息をのむような美しい何かが視界に飛び込んできました。
オフィスビルの林の中にただ1本、その花を咲き誇っている
ソメイヨシノでした。

ほんのり紅を含んだそのなめらかな乳白色は、ほぼ同じ明度である
グレーの壁の色に引き立てられいっそう際立って見えます。

建物の固く直線的なテクスチャーとの対比も関係しているのでしょう。
ほわほわと風に揺れるやわらかな花の塊は、なんとも言えない
有機的でなまめかしいオーラを放っているように感じました。


いま、南房総のソメイヨシノも満開を迎えそれなりに美しいのですが
都心で見る桜に比べて「特別な何か」が薄いような気がします。

ツバキ、桃、ボケ、レンギョウなどなど・・・
色々な花があちこちに元気よく咲き乱れている春の南房総では、
ソメイヨシノが咲いていても何だか(あくまでも私見ですが)
「桜が咲いているぞ!」というよりは
「桜も咲いているね。」といった程度の印象なのです。


都市に咲いてこそ美しい花もある。
ソメイヨシノにそんなことを感じているのは、
私だけではないはずです・・・
by glass-drop | 2005-04-10 18:26 | 自然