海女小屋にて
2005年 09月 05日
白浜のとある海辺に建つ
海女小屋。
はるばるモントレーからやってきた40人のアメリカ人を前に、現役の海女たちがアワビの素潜り漁について語りはじめました。
そう。これは先に南総文化会館にて行われたイベントの続編。
裏方として参加している友人達に便乗し、私も行ってみました。
1975年に建てられたという海女小屋は意外にも広々して涼しい空間。
高い天井はいろりの煙でいぶされたのかまっ黒に煤けていました。
窓の外には大シケの海。日本の南東で暴れている台風の影響でしょう、
ものすごい大きな波が磯の岩に当たって白いしぶきをあげています。
「こんな日に潜るんなら、○億円の保険でもかけないと」
一同の笑いを取る陽気な海女のおばちゃん。
レクチャーはとってもなごやかな雰囲気の中で進んでいきます。
さまざまな素潜り漁の道具を、海女はこう言って紹介し始めました。
「私たちの武器よ!」
「靴下をはいて足ヒレを着ける。昔はヒレなしで潜ってたよ。これは最近使われるようになったウェット・スーツ。今は暖かいから使ってないよ。5月頃の寒い時期に使うの」
着用すれば水中での冷えに耐えることができ、長く潜っていられる。それが過剰採集につながるということで、禁止されていたはずのウェットですが・・・
アワビが減って短時間の潜水では見つかりにくくなったことが関係して
いるのか、地域によっては着用が許可されてきているようです。
「これは耳栓。耳が水圧に弱い人はこれを詰めるの。
昔はチューインガムを使ってたから髪の毛にくっついちゃってね」
黒いモノに包まれた灰色の固まりが耳栓。ペトペトしたお餅みたい。
メガネは濃い緑色のゴム製。以前使われた金属製のものに比べると密着度が俄然高くて大変使い易いそうです。
「これは浮き樽。海に入ったらこの上に乗っかって浮くの」
浮き樽から延びているのは長いロープ。いわば海女の命綱。
およそ5mというその長さが、すなわち潜る深さというわけです。
もっと長いロープが付いている浮き樽もありました。それには途中でねじれて絡んでしまうのを防ぐために、より戻しの金具が付いていました。
樽の上に乗っているのはアワビを起こす道具です。
(以前一緒に潜った千倉の海士は、これの重さで身体が浮くことなく潜れると言っていました)
獲物を入れるタマリと、貝殻の大きさを計るスケール。小さい内枠がサザエ用。外枠がアワビ用です。
漁協に収めたアワビは再び1つ1つ計り直され、1ミリでも基準の大きさに足りなければ没収されてしまうとか。
「だから、小さいのは自分達で食べちゃうのよ!」
では大きなアワビが捕れたら?
殻を記念に飾ったりはしますか?
そんな質問が参加者の中から出ました。
「お金にしたほうが嬉しいからね〜。漁協に渡しちゃうよ!それに大きすぎるアワビはあまりおいしくないのよ。」
へぇ、そういうものなんだ?
先日見た巨大なモントレー産アワビを思い起こす私。
そこで「精算単価表」という貝類の買い取り価格のリストを見せてもらいました。
確かに大きすぎず捕獲時のキズが付いていないものが
より高値で取り引きされているようでした。
なにしろ一般価格では安くても1個3〜4千円はする高級食材です。
見栄えが良く扱いやすい大きさであることが重んじられて、当然かもしれません。
潜水時間についての質問も出ました。
「潜水時間はだいたい50〜60秒。海底で作業もするからね。
60秒を超えて潜っていられる海女はそう多くないよ。
だけど水槽の中だったらもっと長く息を止めていられるよ。」
ここで60秒がどれだけの長さなのか息を止めて感じてみよう、
という提案がなされました。
参加者も海女も合図で一斉に息を止めたのですが・・・
途中で耐えられなくなった人の「ぷは〜!」という声に
海女さんたちは耐え切れずププーッ!と吹き出してしまい、
皆もつられて大爆笑!実験は失敗に終わったのでした・・・・!
終始笑いのたえない和やかな雰囲気の中で行われたレクチャー。
上記のほかにも「へぇ〜!」「なるほど〜!」の連続。
たいへん面白く充実したひとときでした。
「こんどは海女さんたちがモントレーを訪れる番だね。
シュワちゃん、招待してくれないかな〜〜!?」と友人たち。
漁業の面からの平和的日米交流をさらに押し進めるべく、
まずはカリフォルニア州知事にアワビ・ステーキでも
召し上がって頂きましょうかね?!
海女小屋。
はるばるモントレーからやってきた40人のアメリカ人を前に、現役の海女たちがアワビの素潜り漁について語りはじめました。
そう。これは先に南総文化会館にて行われたイベントの続編。
裏方として参加している友人達に便乗し、私も行ってみました。
1975年に建てられたという海女小屋は意外にも広々して涼しい空間。
高い天井はいろりの煙でいぶされたのかまっ黒に煤けていました。
窓の外には大シケの海。日本の南東で暴れている台風の影響でしょう、
ものすごい大きな波が磯の岩に当たって白いしぶきをあげています。
一同の笑いを取る陽気な海女のおばちゃん。
レクチャーはとってもなごやかな雰囲気の中で進んでいきます。
さまざまな素潜り漁の道具を、海女はこう言って紹介し始めました。
「私たちの武器よ!」
「靴下をはいて足ヒレを着ける。昔はヒレなしで潜ってたよ。これは最近使われるようになったウェット・スーツ。今は暖かいから使ってないよ。5月頃の寒い時期に使うの」
着用すれば水中での冷えに耐えることができ、長く潜っていられる。それが過剰採集につながるということで、禁止されていたはずのウェットですが・・・
アワビが減って短時間の潜水では見つかりにくくなったことが関係して
いるのか、地域によっては着用が許可されてきているようです。
「これは耳栓。耳が水圧に弱い人はこれを詰めるの。
昔はチューインガムを使ってたから髪の毛にくっついちゃってね」
黒いモノに包まれた灰色の固まりが耳栓。ペトペトしたお餅みたい。
メガネは濃い緑色のゴム製。以前使われた金属製のものに比べると密着度が俄然高くて大変使い易いそうです。
「これは浮き樽。海に入ったらこの上に乗っかって浮くの」
浮き樽から延びているのは長いロープ。いわば海女の命綱。
およそ5mというその長さが、すなわち潜る深さというわけです。
もっと長いロープが付いている浮き樽もありました。それには途中でねじれて絡んでしまうのを防ぐために、より戻しの金具が付いていました。
樽の上に乗っているのはアワビを起こす道具です。
(以前一緒に潜った千倉の海士は、これの重さで身体が浮くことなく潜れると言っていました)
獲物を入れるタマリと、貝殻の大きさを計るスケール。小さい内枠がサザエ用。外枠がアワビ用です。
漁協に収めたアワビは再び1つ1つ計り直され、1ミリでも基準の大きさに足りなければ没収されてしまうとか。
「だから、小さいのは自分達で食べちゃうのよ!」
では大きなアワビが捕れたら?
殻を記念に飾ったりはしますか?
そんな質問が参加者の中から出ました。
「お金にしたほうが嬉しいからね〜。漁協に渡しちゃうよ!それに大きすぎるアワビはあまりおいしくないのよ。」
へぇ、そういうものなんだ?
先日見た巨大なモントレー産アワビを思い起こす私。
そこで「精算単価表」という貝類の買い取り価格のリストを見せてもらいました。
確かに大きすぎず捕獲時のキズが付いていないものが
より高値で取り引きされているようでした。
なにしろ一般価格では安くても1個3〜4千円はする高級食材です。
見栄えが良く扱いやすい大きさであることが重んじられて、当然かもしれません。
潜水時間についての質問も出ました。
「潜水時間はだいたい50〜60秒。海底で作業もするからね。
60秒を超えて潜っていられる海女はそう多くないよ。
だけど水槽の中だったらもっと長く息を止めていられるよ。」
ここで60秒がどれだけの長さなのか息を止めて感じてみよう、
という提案がなされました。
参加者も海女も合図で一斉に息を止めたのですが・・・
途中で耐えられなくなった人の「ぷは〜!」という声に
海女さんたちは耐え切れずププーッ!と吹き出してしまい、
皆もつられて大爆笑!実験は失敗に終わったのでした・・・・!
上記のほかにも「へぇ〜!」「なるほど〜!」の連続。
たいへん面白く充実したひとときでした。
「こんどは海女さんたちがモントレーを訪れる番だね。
シュワちゃん、招待してくれないかな〜〜!?」と友人たち。
漁業の面からの平和的日米交流をさらに押し進めるべく、
まずはカリフォルニア州知事にアワビ・ステーキでも
召し上がって頂きましょうかね?!
by glass-drop
| 2005-09-05 16:27
| 自然