給水塔

昨日、灯台の写真を撮っていると言う話を書きましたが、
以前にも似たようなモノに夢中になった時期がありました。

カメラ片手にあちこち探してまわったそれは「給水塔」。
電車の中から見かけると途中で降りて見に行ったり、
地図で公団住宅などに目星をつけて探しに出かけたりしたのでした。
(おかげでオウムと間違われ警察に通報されちゃったことも・・・)

c0048685_2124215.jpg最初のきっかけは、廃工場の敷地にたたずんでいた古い給水塔です。館山駅にほど近い線路沿いに立っていたそれは、電車の中からでもよく見えるので、通りすぎる時は必ず車窓にへばりつくようにして目で追ったものです。

ある夏の日、ふと思い立ってひとり館山へ向かいました。そして廃工場の敷地へ入りこみ、ぼうぼうに茂る雑草をかき分けて給水塔に会いに行きました。ツタのからまったコンクリートの階段を登って内部に入ってみると、触ればボロボロこぼれてくるほどに錆び付た細い鉄のハシゴが、塔のてっぺんに向かって伸びています。

c0048685_21244377.jpgもし登っている時にハシゴが崩れて落下しても、気付いて助けに来てくれる人なんかいないんだろうな・・・そう思うと足がすくみます。けれどもこの機会を逃すともう次はないような気がして、イチかバチかおそるおそるよじ登ってみることにしました。

丸く切り抜かれた青空を見上げながら何とかてっぺんまでたどり着くと、そこには館山の海を一望にできるパノラマが広がっていました。涼しい風が吹いてきて海辺まであっさり飛んでいけそうな気がしました。

その夏を最後に車窓にへばりつくことはなくなりました。
間もなく給水塔と廃工場は取り壊されてしまったからです。

あれから十数年がすぎた今、
その場所には大きな原っぱがポカンと広がっているだけです。












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by glass-drop | 2005-02-11 21:28 | おきにいり